ふしぎなふしぎな子どもの物語


物語が子どもの成長を描かない。子どもは成長しなければならないのか。子どもは大人にならなければならないのか。
でも子供向けのものが成長を描いてきたわけじゃない。
サザエさんアンパンマンドラえもんクレヨンしんちゃん、子供向けは成長しない。


物語って家族を回復する話のことなんだろう。失われた元々の家族。その家族を回復するか、他に新しい家族を作るか。
家族を失ってから新しい家族を作る。(もしくはそれが叶わない)それを物語と呼んでいる。


元の家族を蘇らせる話。新しい関係で家族を作る話、別の関係から家族になるまでの話。
子どもがこれから家族になる人と出会ってから新しい家族を作るまでの話のことを特に指して成長って言うんじゃないだろうか。
関係が変わり続けて家族に近づく。変わり続ける関係。
キャラクターの変化を引き継ぎながら時間を追って丁寧に描く。そして家族になって終わる。
通過儀礼をクリアするから大人ではなくて、クリアすると家族を持てるから大人。家族を作れるのが大人。
元々の家族が失われて新しい家族を回復する。


キャラはそうならない。キャラは変化しない。関係が変わらない。変わったかに見えた関係が次のお話で元に戻っている。
失いかけた家族を一つのお話で回復する。毎回繰り返す。そうやって子供向けは元々の家族に戻る。
もしくは最後に回復するまで同じ話を繰り返す。


変化しながら関係を作り、新しい家族を作るものを成長、大人になると呼ぶ。
失敗して家族を作れないものを悲劇。
同じことを繰り返し元々の家族を壊さないものを子供っぽいと感じるのではないのかな。


大人にならないのは、家族を作らないということ。新しい関係を作らないということ。
今の家族を壊さないということ。そういう話が求められているんだろう。
もう家族は必要ないのか。


もしくはもう全員が家族だと。壊したり作ったりしなくても。
その先にはどういう物語があり得るだろう。