借りぐら​しのアリエッティ  その2

それでもストーリーがないとか、恋愛が適わない切なさがないから駄目とかそういう意見には組しない。


翔君って自分が死ぬかもしれないことも、自分が他の人の迷惑になっていることも知っている。
自分が誰の役にも立っていないことも知っている。
でも小人に対しては役に立つことが出来る。世話をし、力を振るうことが出来る。
善意。しかしそれこそが小人の生活を破壊することになる。


小人と人間の関係。一番いいのは互いに関わらないこと。そうすればいつまでもこのまま変わらずにいられる。
善意だろうと関われば小人の生活を破壊する。
気付くこと、見つけること、触れることがどんな形であれ壊してしまう。善意を振るうほど壊してしまう。
気付かなければ良かった。見なければ良かった。触れなければ良かった。


それでもアリエッティにだけは分かってもらえた。
もう戻れない。滅びへの道かもしれない。それでも許してもらえる。髪留めは彼の生を支えるはず。
こういう風にしか関われなかった人間。小人に許してもらう人間。
ナウシカとオーマ。小人にとってはオーマでしかない人間。


宮崎駿が本当に泣いたとしたらこういうことだと思うけれど、どうだろう。
誰も組しない意見。